第13章 何のための学校教育か

学校教育は、子どもたちの成長を支援し、社会に送り出すための重要な営みです。しかし、現代社会の変化は加速しており、学校教育のあり方もまた、常に問い直され、変化を求められています。本章では、学校教育の目的を改めて問い直し、青少年赤十字(JRC)活動との関連性について考察します。

第1節 将来の地域社会を担う人材の育成

学校教育の最も重要な目的の一つは、将来の地域社会を担う人材を育成することです。子どもたちは、学校での学びを通して、社会生活に必要な知識や技能、態度を身につけ、地域社会の一員として、主体的に社会に参画する力を養います。

13.1.1 地域社会の現状と課題

現代の地域社会は、様々な課題を抱えています。

(1) 少子高齢化

少子高齢化は、地域社会の活力低下、労働力不足、社会保障制度の維持困難など、様々な問題を引き起こしています。

(2) 過疎化

地方では、人口減少と過疎化が進み、地域経済の衰退、公共サービスの維持困難、コミュニティの崩壊などが深刻化しています。

(3) 環境問題

地球温暖化、資源枯渇、生物多様性の喪失など、環境問題は、地域社会の持続可能性を脅かしています。

(4) 格差社会

経済格差、教育格差、情報格差など、様々な格差が拡大しており、社会の分断を招いています。

(5) 防災・減災

地震、津波、台風、豪雨など、自然災害が頻発しており、地域社会の安全・安心が脅かされています。

13.1.2 求められる人材像

これらの課題を抱える地域社会を担う人材には、以下のような能力や資質が求められます。

(1) 問題解決能力

地域社会の課題を発見し、分析し、解決策を考案し、実行する能力。

(2) コミュニケーション能力

多様な立場の人々と対話し、協力関係を築く能力。

(3) 協調性

他者と協力して、目標を達成する能力。

(4) 主体性

自ら考え、判断し、行動する力。

(5) 責任感

自分の行動に責任を持ち、社会の一員としての役割を果たす意識。

(6) 郷土愛

自分の住む地域に愛着を持ち、地域社会に貢献しようとする意欲。

(7) 国際感覚

グローバルな視点を持ち、国際社会の一員として、地球規模の課題に関心を持つ。

13.1.3 JRC活動との関連

JRC活動は、将来の地域社会を担う人材育成に大きく貢献することができます。

(1) 問題解決能力の育成

JRCの活動は、子どもたちが地域社会の課題を発見し、解決策を考え、実行する機会を提供します。

(2) コミュニケーション能力・協調性の育成

JRCの活動は、グループで活動することが多く、他者と協力して課題に取り組む経験を通して、コミュニケーション能力や協調性を養います。

(3) 主体性・責任感の育成

JRCの活動は、子どもたちの自主性・自律性を尊重し、主体的な活動を促します。また、自分の行動に責任を持ち、社会の一員としての役割を果たすことの大切さを学びます。

(4) 郷土愛の育成

JRCの地域貢献活動を通して、子どもたちは、自分の住む地域に愛着を持ち、地域社会に貢献する喜びを体験します。

(5) 国際感覚の育成

JRCの国際交流活動を通して、子どもたちは、異文化理解を深め、国際的な視野を広げます。

第2節 学校教育目標達成のために青少年赤十字を活用する

学校教育は、学習指導要領に基づいて、様々な教育目標を掲げています。JRC活動は、これらの教育目標の達成を支援する上で、有効な手段となります。

13.2.1 学習指導要領との連携

JRC活動は、学習指導要領が掲げる「生きる力」の育成に直結する実践的な教育活動です。JRCの3つの実践目標(健康・安全、奉仕、国際理解・親善)は、学習指導要領の各教科や領域の目標と深く関連しており、JRC活動を教育課程に効果的に組み込むことで、教育目標の達成に大きく貢献することができます。

(1) 教科との連携

JRCの活動テーマを各教科の学習内容と関連付けることで、教科の学習内容をより深く理解し、多様な能力を育成することができます。

(2) 道徳教育との連携

JRCの理念である人道的価値観、奉仕の精神、国際理解などは、道徳教育の内容と深く関連しています。JRC活動を通して、子どもたちは、道徳的な判断力や実践力を養うことができます。

(3) 特別活動との連携

JRC委員会やJRCクラブの活動は、特別活動の一環として位置づけられ、子どもたちの自主性、社会性、創造性を育みます。

(4) 総合的な学習の時間との連携

JRCの3つの実践目標は、総合的な学習の時間における探究的な学習のテーマとして最適です。

13.2.2 JRC活動の活用による教育効果

(1) 主体的な学習の促進

JRC活動は、子どもたちの主体的な学習を促進し、学習意欲を高めます。

(2) 体験を通した深い学び

JRC活動は、子どもたちに、座学だけでは得られない、実践的な学びの機会を提供します。

(3) 社会性の育成

JRC活動は、子どもたちの社会性を育み、コミュニケーション能力や協調性を高めます。

(4) 道徳性の育成

JRC活動は、子どもたちの道徳性を育み、人道的価値観を身につけさせます。

(5) キャリア教育の推進

JRC活動は、子どもたちのキャリア意識を高め、将来の職業選択や社会参画を支援します。

(6) グローバル人材の育成

JRC活動は、子どもたちの国際感覚を養い、グローバル社会で活躍できる人材を育成します。

まとめ:学校教育の目的とJRC活動
学校教育の目的は、子どもたちの成長を支援し、将来の地域社会を担う人材を育成することです。JRC活動は、この目的を達成するために、非常に有効な手段となります。

学校は、JRC活動を積極的に推進し、子どもたちの成長を支援していくことが求められます。JRC活動を通して、子どもたちが、知識・技能だけでなく、豊かな人間性や社会性を身につけ、自信を持って未来を切り拓いていくことを期待します。