青少年赤十字(JRC)の活動において、態度目標である「気づき、考え、実行する」は、子どもたちの主体的な学びと成長を促すための重要なサイクルです。しかし、現実の教育現場では、このサイクルがうまく機能せず、子どもたちの主体性が損なわれてしまうケースが見られます。本章では、「気づき、考え、実行する」のサイクルが否定されてしまう状況を分析し、その原因と、子どもたちへの影響、そして改善策について考察します。
「気づかず、考えず、行動しない」状態は、「気づき、考え、実行する」サイクルの完全な否定であり、子どもたちの主体的な学びが全く行われていない状況です。この状態は、様々な要因によって引き起こされますが、その多くは、指導者側の問題に起因しています。
一見、矛盾しているように思えるかもしれませんが、子どものことを思うあまり、熱心すぎる指導が、子どもたちの「気づき、考え、実行する」を妨げてしまうことがあります。
ア.指示の出しすぎ:
「あれをしなさい」「これをしなさい」と、細かい指示を出しすぎることで、子どもたちが自分で考える機会を奪ってしまいます。
イ.先回り:
子どもたちが困る前に、先回りして手助けをしてしまうことで、子どもたちが自分で問題を解決する経験を奪ってしまいます。
ウ.答えの押し付け:
「こうすればいいんだよ」「これが正解だよ」と、すぐに答えを教えてしまうことで、子どもたちが自分で考える意欲を失わせてしまいます。
エ.否定的な評価:
子どもたちの意見や行動を否定的に評価することで、子どもたちの自信を奪い、主体的な行動を抑制してしまいます。
ア.無気力:
常に指示を待つようになり、自分で考えて行動することができなくなります。
イ.指示待ち:
自分で判断することができず、常に他人の指示を求めるようになります。
ウ.依存心:
自分で問題を解決することができず、常に他人に頼るようになります。
エ.自己肯定感の低下:
自分の意見や行動が否定されることで、自信を失い、自己肯定感が低下します。
オ.学習意欲の低下:
自分で考えることができないため、学習意欲が低下し、学力も伸び悩みます。
指導者が、子どもたちの活動に過度に介入し、手を出してしまうことも、「気づき、考え、実行する」を妨げる要因となります。
ア.活動の代行:
子どもたちがやるべきことを、指導者が代わりに行ってしまいます。
イ.過度な準備:
活動に必要な準備を、指導者がすべて行ってしまいます。
ウ.過度な修正:
子どもたちが作ったものや、書いたものを、指導者が大幅に修正してしまいます。
ア.主体性の欠如:
自分たちで活動しているという意識が薄れ、主体性が育ちません。
イ.達成感の欠如:
自分たちの力で成し遂げたという達成感を得ることができません。
ウ.責任感の欠如:
自分たちの活動に対する責任感が育ちません。
エ.問題解決能力の低下:
自分たちで問題を解決する経験が少ないため、問題解決能力が育ちません。
過干渉とは逆に、指導者が子どもたちの活動に関心を示さず、放任してしまうことも、「気づき、考え、実行する」を妨げる要因となります。
ア.無関心:
子どもたちの活動に関心を示さず、何をしているのか把握していません。
イ.放置:
子どもたちが困っていても、助けを求められても、放置してしまいます。
ウ.無計画:
活動の計画を立てず、子どもたちに任せきりにしてしまいます。
エ.無評価:
子どもたちの活動を評価せず、フィードバックを与えません。
ア.意欲の低下:
指導者から関心を示されないことで、活動に対する意欲が低下します。
イ.不安感:
何をすれば良いのか分からず、不安を感じます。
ウ.孤立感:
指導者や仲間からのサポートが得られず、孤立感を感じます。
エ.方向性の喪失:
活動の目標や方向性を見失い、迷走してしまいます。
オ.質の低下:
適切な指導やサポートがないため、活動の質が低下します。
過干渉、手の出し過ぎ、放任といった指導は、子どもたちに共通の影響を与えます。それは、無気力と指示待ちです。
自分で考えること、行動することを求められないため、子どもたちは次第に無気力になっていきます。
常に指示を待つようになり、自分で判断し、行動することができなくなります。
「気づかず、考えず、行動する」状態は、「気づき、考え」のプロセスが欠如しているため、場当たり的で無計画な行動につながりやすく、危険な状態です。
この状態は、主に指導者による放任が原因で起こります。指導者が子どもたちの活動に関心を示さず、適切な指導やサポートを行わないため、子どもたちは何をすれば良いのか分からず、手探りで行動することになります。
ア.場当たり的な行動:
計画性がないため、場当たり的な行動になりがちです。
イ.無駄な行動:
目標や方向性が定まっていないため、無駄な行動が多くなります。
ウ.危険な行動:
安全に対する意識が低いため、危険な行動につながる可能性があります。
エ.トラブルの発生:
計画性がないため、トラブルが発生しやすくなります。
オ.協力体制の欠如:
チームワークが生まれず、協力して活動することができません。
「気づかず、考えず、行動する」状態は、子どもたちに深刻な影響を与える可能性があります。
自分のことしか考えず、他者への配慮や思いやりが欠如した行動をとるようになります。
ルールやマナーを守らず、社会的に許されない行動をとるようになります。
物や環境を破壊する行為に及ぶ可能性があります。
「気づき、考え」のプロセスを経ない行動は、自分自身や周囲の人々を危険にさらす可能性があります。
「気づき、考え、行動しない」状態は、「気づき、考え」までは至っているものの、「実行」に移すことができない状況です。この状態は、様々な要因によって引き起こされますが、指導者の熱意不足が一因となっている場合があります。
指導者に熱意がないと、子どもたちの「実行」を促すことができません。
ア.消極的な姿勢:
JRC活動に対して、消極的な姿勢を示します。
イ.準備不足:
活動の準備を十分に行いません。
ウ.知識不足:
JRCの理念や活動内容について、十分な知識を持っていません。
エ.関心の低さ:
子どもたちの活動に関心を示しません。
ア.子どもたちの意欲低下:
指導者の熱意不足は、子どもたちの活動意欲を低下させます。
イ.活動の停滞:
活動が計画通りに進まず、停滞してしまいます。
ウ.質の低下:
活動の質が低下し、子どもたちの成長につながりません。
「気づき、考え、行動しない」状態は、子どもたちを批評家や無関心な傍観者にしてしまう可能性があります。
問題点や改善点には気づくものの、自分では行動せず、他人の行動を批判するだけになります。
問題や課題に関心を持たず、傍観者的な態度をとるようになります。
「気づき、考え」は重要ですが、「実行」が伴わなければ、意味がありません。
まとめ:改善に向けて
「気づき、考え、実行する」のサイクルが否定されてしまう状況は、子どもたちの主体的な学びと成長を阻害する深刻な問題です。指導者は、
ことが重要です。
子どもたちが主体的に学び、成長できる環境を整えるために、指導者は常に自らの指導方法を見直し、改善していく必要があります。