もし、あなたがその場にいたら。
いじめの場面で、多くの人が「見て見ぬふり」をしてしまう。それはなぜなのでしょうか。このページでは、その心の仕組みを解き明かし、私たち一人ひとりに何ができるのかを一緒に考えます。
学びを始めるいじめを取り巻く4つの立場
いじめは「いじめる側」と「いじめられる側」だけで起きているわけではありません。そこには「観衆」と「傍観者」という、大きな影響力を持つ存在がいます。下の図の各立場をクリックして、その役割と心理について学んでみましょう。
立場を選択してください
各役割がどのような心理状態にあるのかが表示されます。
なぜ、見て見ぬふりをしてしまうのか?
「止めたい」と思っても足がすくむ。その背景には、誰にでも起こりうる心理的な「壁」があります。カードをホバー(スマホではタップ)して、その正体を探ってみましょう。
責任の分散
"誰かがやるだろう"
周りに人が多いほど、「自分じゃなくても誰かが助けるはず」と思い、一人ひとりの責任感が薄れてしまう心理。
多元的無知
"みんな平気そうだし…"
本当は多くの人が「おかしい」と思っていても、誰も行動しないのを見て「自分だけが気にしすぎ?」と勘違いしてしまうこと。
報復への恐れ
"次は自分がやられるかも"
助けに入ったら、今度は自分が標的にされるかもしれない。仲間外れにされたくないという強い不安。
評価懸念
"でしゃばりだと思われたら…"
「余計なことを」「大げさだ」など、周りからネガティブに評価されるのが怖くて行動できない心理。
状況の曖昧さ
"これっていじめなの?"
「ふざけてるだけかも」「冗談かもしれない」と、いじめかどうか確信が持てず、介入をためらってしまうこと。
罪悪感と無力感
"何もできなかった…"
見て見ぬふりをした後、「何かできたはずだ」という後悔や自分を責める気持ち。しかし、その場では動けない無力さを感じる。
あなたの選択が、未来を変える
傍観者の「行動」と「無行動」。その小さな違いが、いじめの状況に大きな影響を与えます。下のスイッチを切り替えて、その違いを確かめてみてください。
無行動がもたらすもの
- ●いじめの深刻化:加害者の行為が許されていると誤解させ、いじめをエスカレートさせる。
- ●被害者の孤立:「誰も助けてくれない」という絶望感を強め、心に深い傷を負わせる。
- ●自分の罪悪感:見て見ぬふりをしたことが、後々まで心の重荷としてのしかかる。
行動がもたらすもの
- ●いじめの抑止:「それはダメなことだ」というメッセージになり、加害者の行動を止める力になる。
- ●被害者の救い:「味方がいる」という安心感が、被害者の心の支えになり、孤立を防ぐ。
- ●自分の自己肯定感:誰かを助けられたという経験が、自信と勇気につながる。
傍観者から、勇気ある「仲裁者」へ
直接止めることだけが勇気ではありません。あなたにもできる「小さな一歩」がたくさんあります。それは、いじめをなくすための大きな力になります。
あなたにもできる、具体的なアクション
- 🤝被害者に寄り添う
「大丈夫?」と声をかける、隣に座る、話を聞くだけでも大きな支えになります。
- 🗣️話題を変える
いじめが始まりそうな雰囲気になったら、全く違う話をして空気を変える。
- 👥仲間を増やす
信頼できる友達に「あの状況、おかしいと思わない?」と相談し、一緒に行動する仲間を見つける。
- ✍️記録する
いつ、どこで、誰が、何をしたか。メモに残すことが、後で大人に相談するときの重要な証拠になります。
一人で抱え込まないで、相談する勇気
自分の安全を守ることも大切です。危険を感じたり、どうすればいいかわからないときは、信頼できる大人に相談しましょう。それは「チクリ」ではなく、問題を解決するための賢明な行動です。
- 👨🏫学校の先生、スクールカウンセラー
- 👨👩👧👦お父さんやお母さん、家族
- 📞専門の相談窓口(次のセクションで紹介)
相談するときは、「匿名でお願いしたい」と伝えることもできます。あなたのプライバシーは守られます。
いつでも、あなたは一人じゃない
いじめで悩んでいるあなたへ。話せる場所が、ここにあります。秘密は守られるので、安心して相談してください。保護者の方も利用できます。
24時間子供SOSダイヤル
文部科学省: 0120-0-78310 (24時間365日対応)
こどもの人権110番
法務省: 0120-007-110 (平日8:30-17:15), LINEやメールでも相談可
チャイルドライン
NPO法人: 0120-99-7777 (毎日16:00-21:00), 18歳までの子ども専用
警察の少年相談窓口
各都道府県警察: #9110 または最寄りの警察署へ